4月から軽貨物運送業(黒ナンバー)のルールが変わります。

軽貨物運送業(黒ナンバー)において法改正があり、令和7年4月から安全対策が強化されます。
目次
軽貨物運送業とは?
軽貨物運送業とは、軽自動車で黒ナンバーをつけて運送業を行っうことです。
最近よく見かけるAmazon flexの配送業などがこれに当たります。
意識していないとあまり気にならないかもしれませんが、意識して見てみるとたくさん見かけます。
具体的にはどう変わる?
今回の法改正で変わることとしては「安全対策の強化」となっています。
理由としては、貨物軽自動車運送事業者における重大事故が増加していることとされています。

新しく追加された義務
- 貨物軽自動車安全管理者の講習受講
- 貨物軽自動車安全管理者の選任・届出
- 初任運転者等への指導及び適性診断の受診
- 業務の記録
- 事故の記録
- 国土交通大臣への事故報告
上記の6つがあらたな安全対策として義務付けられました。
❶貨物軽自動車安全管理者の講習受講
貨物軽自動車運送事業者は、貨物軽自動車安全管理者に選任しようとしている者に貨物軽自動車安全管理者講習を、貨物軽自動車
安全管理者に 貨物軽自動車安全管理者定期講習を、国土交通大臣の登録を受けた 講習機関で受講 させなければいけません。
個人事業主の方は、ご自身で受講する必要があります。
2025年現在、講習機関となっているのは独立行政法人 自動車事故対策機構のみとなっており、費用は3,700円かかります。
受講はwebカメラ付きパソコン・タブレット又はスマートフォンがあればeラーニングにてご自宅等で受講できるようです。
受講をしたら届出にて必要となる修了証明書が発行されます。
また、受講は選任後も2年ごとに受講となりますので、忘れずに受講しましょう。
❷貨物軽自動車安全管理者の選任・届出
貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに「 貨物軽自動車安全管理者 」を選任しなければいけません 。
「貨物軽自動車安全管理者 」 は上記講習の内容を理解し 、課せられている安全対策を確実に行うようにしましょう。
安全管理者の選任は、
①選任届出書
②❶を受講した修了証明書
を運輸支局に提出します。
※令和7年度3月までに貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った事業者は令和9年3月までに選任
※令和7年度4月以降に貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った事業者は、速やかに実施
となっておりますので、現在すでに事業をおこなっている方は猶予がありますが、忘れずに令和9年3月までにはおこないましょう。
4月以降に新たに始める方は速やかに実施となりますので、黒ナンバーの取得と併せておこないましょう。
❸初任運転者等への指導及び適性診断の受診
貨物軽自動車運送事業者は、以下の運転者に対して 、特別な指導をしなければいけません 。
また 、国土交通大臣に認定された 適性診断の受診もさせなければいけません 。
- 初任運転者(過去に一度も特別な指導・適性診断を受けていない者)
- 高齢者(65歳以上の者)
- 死者又は負傷者が生じた事故を引き起こした者
また、貨物軽自動車運送事業者は、運転者の氏名、当該運転者に対する指導及び当該運転者の適性診断の受診状況等を記載した貨物軽自動車運転者等台帳を作成 し、これを営業所に備え置かなければいけません 。
※令和 7 年 3 月末までに貨物軽自動車運送事業経営届出を行った事業者は、令和 10 年 3 月までに実施。
※令和 7 年 4 月以降に貨物軽自動車運送事業経営届出を行った事業者には、猶予期間はありません。
❹業務の記録
貨物軽自動車運送事業者は、行った業務について主に以下の項目等の記録を作成し 、1 年間保存しなければいけません 。
- 運転者等の氏名
- 車両番号(ナンバープレート等)
- 業務の開始、終了及び休憩の日時
- 業務の開始、終了及び休憩の地点
- 業務に従事した距離
- 主な経過地点
【業務記録の記載例】

今までは、緑ナンバーには運転日報が義務付けられていましたが、黒ナンバーには義務がありませんでした。
今回の法改正により、上記の例に挙げた業務の記録の作成・保存が義務付けられたので、令和7年4月1日以降は必ず作成のうえ、1年間保存しましょう。
❺事故の記録
貨物軽自動車運送事業者は、事故が発生した場合、主に以下の項目等の記録を作成し、3年間保存しなければいけません。
- 乗務員等の氏名
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 事故の概要
- 事故の原因
- 再発防止対策
❻国土交通省への事故報告
先ほどの❺の事故の記録と近いですが、より重大な事故の際には報告義務が生じます。
貨物軽自動車運送事業者は、死傷者を生じた事故等、重大な事故が発生した場合、主に以下の項目等について、30日以内に所定の様式により運輸支局等を通じて国土交通大臣に報告しなければいけません。
加えて、2人以上の死者を生じた事故等、重大な事故については、24時間以内においてできるだけ速やかに運輸支局等に速報しなければいけません。
- 乗務員等の氏名
- 事故の発生日時
- 事故の発生場所
- 当時の状況
- 当時の処置
- 事故の原因
- 再発防止対策
まずは事故を起こさないことが大前提ですが、もし事故を起こすようなことがあれば、必ず報告しなければなりません。
まとめ
以上が、今回の法改正により新たに黒ナンバー事業者に義務付けられたものとなります。
3月までに、既に事業者として事業をおこなっている方は、安全管理者の講習受講と選任の届出については猶予がありますが、4月1日以降は業務の記録を付ける必要があります。
4月以降に新たに黒ナンバーを取得する方は、安全管理者の講習受講と選任の届出を速やかにおこないましょう。こちらも4月1日以降は業務の記録を付ける必要があります。
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