【会社設立】取締役と取締役会の違いは?
前回の記事にて、株式会社には「株主総会」と「取締役」がどのような機関設計の会社においても必置機関としてご紹介いたしました。
今回は前回ご紹介した「取締役」と、旧商法においては必置機関として定められていましが、現在は機関設計によっては任意の機関である「取締役会」との違いについて解説していきたいと思います。
目次
取締役の員数
取締役会を置いている会社は「取締役設置会社」、取締役会を置かない会社は「取締役会非設置会社」と呼びます。
取締役会設置会社では3人以上、取締役会非設置会社は1人以上の取締役が必要となっています。
また、取締役会には「監査役」を置く必要がありますので、取締役設置会社にしようとするならば、最低でも4人が必要となります。
株主総会で決議できる事項
取締役設置会社と取締役会非設置会社で大きく変わってくるのは株主総会の役割です。
1. 取締役会設置会社
株主総会で決議できる事項が限られており、会社法と定款で定められた重要な事項しか決議することができません。
経営に関する事項などは取締役会により決議します。
まさに株式会社の特徴である「所有と経営の分離」です。
2. 取締役会非設置会社
株主総会が万能の機関となり、株式会社に関するあらゆることを決議することができます。
決議要件について
取締役設置会社と取締役会非設置会社では業務執行の決定の決議要件等が少し違ってきます。
客足数 | 決議要件 | |
取締役会設置会社 | 取締役の過半数 | 出席した取締役の過半数以上の賛成 |
取締役会非設置会社 | なし | 総取締役の過半数の賛成 |
(例) 取締役が5名いる取締役会設置会社の場合
3名の取締役が出席して取締役会を開催し、その内2名が賛成した場合、可決となります。
(例)取締役が5名いる取締役会非設置会社の場合
客足数の要件がありませんので、可決するためには常に3名以上の賛成が必要となります。
代表取締役の選定方法
代表取締役の選定方法が少し違ってきます。
1. 取締役会設置会社
原則として取締役会の決議により代表取締役を選定します。
もちろん定款で定めることにより株主総会や定款で代表取締役を選定とすることも可能です。
この場合の定款は下記のように記載します。
(設立時の役員)
第〇条 当会社の設立時取締役、設立時監査及び設立時代表取締役は次のとおりとする。
設立時取締役 〇〇 〇〇
設立時取締役 〇〇 〇〇
設立時取締役 〇〇 〇〇
設立時監査役 〇〇 〇〇
設立時代表取締役 〇〇 〇〇
2. 取締役会非設置会社
原則として株主総会で選任された取締役全員に代表権があります。
つまり、取締役全員が自動的に代表取締役となります。
ただし、次の3つの方法にて代表取締役を選定することが可能です。
- 株主総会で定める
株主総会の普通決議にて代表取締役を選定することができます。 - 定款で定める
定款で代表取締役を選定することができます。
もし定款で定める場合は下記のように記載します。
(当会社の取締役及び代表取締役)
第〇条 当会社の取締役及び設立時代表取締役は次のとおりとする。
取締役 〇〇 〇〇
取締役 〇〇 〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇 - 定款の規定に基づき取締役の互選により定める
定款にて取締役の互選により代表取締役を選定するという規定を設けた場合はこちらの方法も可能となります。
定款に定める場合は下記のように記載します。
(代表取締役及び社長)
第〇条 当会社に取締役が2人以上いるときは代表取締役1人を置き、取締役の互選によって定めるものとする。
② 代表取締役は社長とし、取締役1人のときは、当該取締役を社長とする。
③ 社長は、当会社を代表し、会社の業務を執行する。
まとめ
いかがだったでしょうか。
取締役と取締役会、何が違うかについて解説いたしました。
リストにまとめましたので、ご覧ください。
取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 | |
取締役の員数 | 3名以上 | 1名以上 |
株主総会で決議できる事項 | 会社法と定款で定めた重要な事項のみ | 万能でありとあらゆることが可能 |
決議の客足数 | 取締役の過半数以上 | なし |
決議要件 | 出席した取締役の過半数 | 総取締役の過半数 |
代表取締役の選定方法 | 原則として取締役会の決議 ただし、定款で定めれば下記の方法も可能。 ①定款で定める ②株主総会で選定 | 原則として株主総会で選任された取締役全員 ただし、下記の方法も可能。 ①定款で定める ②株主総会の普通決議 ③定款の規定に基づき取締役の互選 |
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